胸部の構造

<胸郭の構造>
肋軟骨はレントゲン透過性で普通確認できません。加齢がすすんで石灰化が進行した場合不規則な陰影として撮影されます。

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[参考] 肋軟骨の化骨は胸部の読影を紛らわしくすることがある。
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肺の構造 胸壁をはずして前面から見える像、右の肺は3つに左の肺は2つに大きく分かれています。
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気管と甲状腺の位置関係
甲状腺の腫瘤により気管が左右に変位することがある。
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[実際例] 腺腫様甲状腺腫により気管が左にずれている。
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気管と胸腺の位置関係
胸腺の腫大により気管が左右に変位することがあります。乳児では胸腺が正常でも腫大しているため、時にこの変化をみとめる。
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[実際例] 気管が右に変位、同時に縦隔陰影の拡大があり肺野には気管支肺炎の所見をみとる。気管の変位の部位・変位の仕方で原因の推測が可能になる。
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肺の分画 さらに細部をみると気管支の走行によって右肺は10に左肺は8つに分かれ、それぞれの区分に番号が付けられています(下の模式図ならびに実際に近いイラスト参考)。
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胸部の異常陰影 金芳堂 1984 より引用



正面(イラスト)
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臨床のための解剖学. メディカル・サイエンス・インタ-ナショナル、2008より



内側展開図(下図)
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背面(下図)(背中側から見ている)
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体表からみた肺区域
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レントゲン写真に投影する肺区域
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レントゲン側面像(展開像:魚の開きのイメージ)
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肺・気管支のイメージ
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気管支の分枝
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肺の血管走行
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肺門部のリンパ節
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A-P window 大動脈と肺動脈の交差する部位、リンパ節腫大の目印になります。
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肺野の区分 肺野を便宜的に3等分して肺野での位置を表示するために使用します。
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縦隔陰影・心陰影
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正常の胸部レントゲン写真像:チェックポイント
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1.気管支B3bの断面とその内側の肺動脈A3bとB6(左)は必ず確認。
2.右気管支は25゜の角度で分枝し太くて短い、左は35゜程度で細くて長い。
3.左の肺動脈の肺門部での位置は右のそれより1.5cm程高い。
4.右傍気管線を気管支分枝部までたどる。
5.下肺静脈は水平に走行している。
6.肺動脈A8-10の走行とその分枝まで見る癖をつけること。
7.下行大動脈左縁は必ず横隔膜下まで追うこと。
8.同様に右の奇静脈食道線を確認。
9.横隔膜は通常ト-ム状だが変形している時は原因を追究。
10.大動脈肺動脈窓(AP window)を見つけること。
11.腕頭動脈の蛇行に注意、この時は気管の偏移はない。
12.右横隔膜は左より2cm程度高い。
13.肺血管の密度と太さは重力の影響で上肺野ほど血管密度が少なく血管も細い。
14.鎖骨内側は第4後肋骨に重なる。
15.胃泡の見え方と横隔膜との距離を確認すること。
16.第1肋軟骨の石灰化は非対称のことが多く、下方に突出することが普通。
17.下行大動脈の蛇行と動脈瘤の区別は右辺縁が追えないと難しい。
18.下行肺動脈の太さは1.5cm以下、後部肋骨の幅とほぼ同じ。
19.上中肺野の外側胸壁から1~2cmの領域では末梢血管は同定できない。
20.肺門影の透過性の左右差があるとき、病変発見の手掛かりとなる。
21.肺の容積は右肺が左肺より大きい。
22.肺尖部の随伴陰影(肋骨筋や脂肪組織など)や胸膜肥厚を見つける。
23.左下葉の肺底部の病変は胃泡内に見えることがある。
24.症例を重ねて正常バリエ-ションを熟知する。





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